伊豆高原学園来年4月から開設

 伊豆高原学園が老朽化で改修工事がすすめられており、来年4月から開設します。改築・維持管理・運営を一括して民間に任せるPFI方式をとります。伊豆高原学園のPFIについて大竹区議が2009年第3回定例会で質問しています。
大竹区議が質問2009年第3定例会で質問と答弁の内容は以下の通りです。
 
 伊豆高原学園のPFIについてです。
 大田区立伊豆高原学園は、改築、運営等事業の特定事業の選定の事業目的で、「昭和42年9月に移動教室を実施するための学校校外施設として開設され、40年あまりがたち、施設、設備の老朽化等の課題を抱えており、更新が必要になった。一方で、学園のあり方についても、学習機能の拡充はもとより、区有財産である施設の有効活用としての区民等の利用の促進といった学園開設当初とは違う配慮が必要になっている。本事業では、学校校外施設としての機能の充実を基本に、学校未利用期間の区民利用の促進を図る。これによって区民サービスの向上及び大田区民の財産である伊豆高原学園の有効活用を目指す。また、本事業をPFI事業として実施することにより、民間の経営ノウハウを積極的に活用し、施設整備及び維持管理、運営等について、より効果的で、かつ質の高い公共サービスの提供を図る。」と述べて、現在PFI事業で選定が進められています。大田区で初めてのPFI事業となり、建築し譲渡してから管理するBTOで進めようとしています。
 PFI法は、1999年に制定されて、その後、数回改正されました。法施行から数年を経て、一定数の事例が実施されてきていますが、その中には重大な問題を生じる事例もあります。例えばタラソ福岡の破綻、仙台市スポパーク松森のプール天井崩落事故、大赤字になって契約解除案が出されている高知医療センターや近江八幡市総合医療センターなど、こうした事例を通じて制度としてのPFIの問題点も具体的に見えてきています。
 PFIは、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して公共施設の整備を促進する制度です。この制度の特徴は、第1に、民間には資金があり、経営能力も技術力もあるという前提で、できる限り民間事業者にさせようとしていることです。しかし、民間資金は融資により金利収入を上げるために投入されますし、民間企業は、その経営能力や技術力を、あくまでPFI事業を通じて利益を上げるために用いるものですから、住民全体の福祉の観点が欠落するおそれがあります。
 特徴の第2は、公共施設等の整備を促進する制度です。地方自治体では、小さな政府への動きや行政改革が進められ、人件費等は削減する圧力を強く受けることが予想されます。しかし、一方で公共施設の建設については、縮小するのではなく、民間化により促進するための法制度が設けられており、不要不急の公共施設建設を進めかねないことです。
 大田区伊豆高原学園は、教育としての校外施設の役割があります。改築計画で、教育における校外施設と移動教室の重要性について、学校が実施する移動教室は、学校の教育課程に位置づけ、校外の適切な場所を教室として実施する教育活動であり、夏季休暇等に行われる行事とは性格を異とします。また、豊かな自然環境の中での宿泊を伴う集団生活を通じて、楽しく規律ある中にも人間的な触れ合いを深めると同時に、自立的に生活する態度を育むことで人間性豊かな子どもを育成する極めて重要な教育活動であり、学校内における平素の学習効果を一層高めると同時に、通常の学校生活では得がたい体験を得ようとするものですと述べています。
 伊豆高原学園は学校の教育課程に位置づけて、校外の適切な場所を教室として実施する教育活動なのです。学校は、学校教育法第2条で、設置主体は国、地方公共団体、学校法人とし、第5条で、管理者は設置者が管理すると定めています。そのため、学校に指定管理者制度をとることはできません。また、今回の改築計画で、校外施設を利用している現場の教師の声が反映されていないことです。アンケートなど行って、中身の充実こそ必要ではないでしょうか。民間丸投げではなく、教育委員会が責任を持って改築、運営をすべきです。お答えください。また、そのためにも現場の教師の声を十分聞いて、中身の充実を図るべきです。お答えください。
 本事業の基本方針の施設の有効活用で、「学校未利用期間における施設利用は進んでおらず、結果として稼働率の低い施設となっている。したがって、本事業では、校外施設という本来の目的を損なわない範囲で、学校未利用期間の区民等による利用を広く促し、宿泊利用を通じて区民の健康促進や区民活動の支援を目指す。」としています。教育施設と区民施設と一緒にできるのか、かえって中途半端な施設にならないのか、効率が悪くならないかという点についてです。
 区民休養村とうぶが区民施設と併設で、校外施設としても使われています。子どもたちには、たばこや酒のにおい、テレビや冷蔵庫があっても使えない。区民からは、1部屋が1学級の20人の大部屋になる、長い廊下を歩いてお風呂や食堂に行かなければならない、交通機関が込まない平日が利用できない。また、伊豆高原荘が廃止になり、区民施設として年間1万人を予定しているとのことですが、民間の契約旅館で代替施設にしていますが、新たな伊豆高原学園が伊豆高原荘との関係でどのように位置づけられているのか区民に明らかにされず、業者任せになっていることです。教育施設と区民施設と一緒にせず、別々に施設建設をすべきです。お答えください。

◎金子 教育総務部長 私からは、教育に関する質問について答えさせていただきます。
 伊豆高原学園について、教育委員会が責任を持って改築、運営をすべきであるとの質問でございますが、校外施設としての伊豆高原学園は、学校教育法上の学校施設には当たりませんので、指定管理者制度とすることに問題はございません。また、指定管理者制度を導入しても、移動教室は教育課程に位置づけられておりまして、学校として実施することに変わりはありません。
 運営に関しましては、事業者にモニタリング実施計画書の提出や利用者アンケートの実施などによるセルフモニタリングの徹底を求めます。また、区として、定期及び随時の綿密なモニタリングを行い、事業者との連絡や調整をする場を確保することで、事業者が要求水準書や契約書などの内容を遵守し、円滑で良好な事業の実施について監視、コントロールしていきます。その上で、要求水準書の基準に満たない場合や、事業の実施に支障がある事態が発生した場合は、大田区は業務改善勧告を行い、改善されなければペナルティーを与えます。また、事業者の破綻リスクについては、契約時に倒産対策措置を講じて株式の散逸を防ぐとともに、事業の実施については、SPCとして代替の運営の事業者を確保し、継続していくことになります。
 次に、学校現場の教師の声を十分に聞いて、充実を図るべきであるとの質問についてでございますが、学校現場とは、これまで検討の場を設けて調整を重ねてきているところでございます。学校の意見を十分に取り入れ、移動教室の機能の拡充に結びつけた計画となっております。学校の要望を受けて、具体的には、現在不十分である雨天時の活動場所の置き込みをしております。また、だれもが安心して過ごせるユニバーサルデザインの推進、環境配慮や環境学習ができる機能を確保することとしております。さらに、現地ならではの自然体験や、宿泊を伴う集団生活の体験をより充実させるための学習プログラムの拡充を今回の再整備の重点目標としております。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!