国家戦略特区構想は、日本経済の再生に向けた第三の矢として、「世界に打って出る=イノベーションによる国際競争力の向上」、「世界を取り込む=資本・人材の呼び込み」等の実現を通して、日本を「世界で一番ビジネスのしやすい環境」とすることを期待するとして、内閣総理大臣主導の下、大胆な規制改革等を実行するための強力な体制を構築して取り組むとしています。
5月1日、「国家戦略特別区域法」に基づき、「国家戦略特別区域を定める政令」が公布・施行され、大田区など18の自治体が国家戦略特別区域として定められました。
政令で定められた区域は、以下のとおりです。
1(東京圏)千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、千葉県成田市、神奈川県
2 新潟県新潟市
3(関西圏)京都府、大阪府、兵庫県
4 兵庫県養父市
5 福岡県福岡市
6 沖縄県
今後、国や東京都等の関係機関と連携しながら、国家戦略特別区域制度を活用したまちづくりを進めます。
4月28日国家戦略特区ワーキンググループによるヒヤリングが9区を対象に実施され、大田区から「羽田発ビジネス再生・強化戦略へ国際都市おおた」により説明されました。特区の規制改革事項を活用した取り組みに関する現時点における考え方として、羽田空港の跡地のまちづくり、新空港線整備等8つの案(下図)が提案されました。
しかし、国家戦略特区は国家主導で進められるため、大田区の提案が反映されるかは未定です。
また、国会の論議の中でも、安倍政権が「成長戦略」を推進するため「大胆な規制改革」を起爆剤と位置づけ、大企業が”邪魔”とみなした規制を徹底的に見直し、撤廃することが主眼です。大企業が気に入らない規制や制度の多くは、国民の暮らしや安全、労働者の権利を果たしています。国民にとってなくてはならないルールを「成長」を名目に強行突破しようとするのが狙いです。
大企業がやりたい放題できる国は、大企業の”楽園”でも、国民には”ルールなき無法地帯”でしかありません。非正規雇用の拡大など雇用破壊をすすめてきた大企業の「成長」が、国民の暮らしを破壊し、日本経済の再生の妨げになったことは明らかです。労働者と国民を守るルールを強化し、労働者の賃上げや、中小企業支援など国民の家計を豊かにする政治の転換こそ必要です。